【徹底解説】顧客起点マーケティングって何?活用ステップも解説!

みなさんこんにちは、ハルキです。

今回は商品の開発や広告プランを考える際に活用される「顧客起点マーケティング」について解説していきたいと思います。

現代のマーケティングの基礎となる考え方です!

これを無くしてマーケターは語れません!

著書の紹介

今回参考にさせていただいた本は「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客マーケティング」(著・西口和樹 出版・翔泳社)です。

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS) [ 西口 一希 ]
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西口和樹Strategy Partoners代表取締役およびM-Force共同創業者)

1990年大阪大学卒業後、P&Gジャパン入社。マーケティング本部に所属、ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任し、パンパースやパンテーンなどを担当。その後、ロート製薬やロクシタンジャポンで活動後、2017年、スマートニュースのマーケティング担当執行役員として参加し、累計ダウンロード5000万人を達成。

西口さんは、マーケティングが強みである「P&G」出身の超ベテランマーケターです。現在はStrategy Partonersの代表取締役としてさまざまな企業のマーケティングコンサルタントとして活躍しています。

「スマートニュース」といえば誰もが知っている国内ダウンロードNo1のニュースアプリですね。

顧客起点マーケティングとは

「一人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を見つける」という考え方です。

一人の顧客を徹底して理解し追求することで有効な打ち手を導き出し、それを同じセグメントのターゲットにサービスを拡大していきます。

例えば以下の人にプレゼントを上げるとして最も喜ばれるのはどれでしょうか。

A.あなたの恋人

B.あなたの女性の同僚20人

C.世帯収入800万の主婦

おそらく、A「あなたの恋人」がもっとも喜んでくれるでしょう。

それはよく知ったたった一人に向けて、日頃何に悩んでいて、どんな時に喜んでくれるのかを知っているからです。

顧客起点マーケティングの重要性がわかったのではないでしょうか?

顧客を選ばずマーケティング活動をするとどうなるか

では顧客を選ばず、「仮説だけ」でマーケティング活動をしてしまうとどうなるのでしょうか。

結論から言うと「お金だけ使って結局効果が出ず、競合他社の引き立て役になってしまう」という結果になります。

なぜならば大多数の平均をとった商品は、可もなく不可もない、誰の心にも刺さらないサービスになってしまうからです。

そもそもマーケティング活動は、ユーザーに「良い」と思われ、数あるブランドの中から「私にあったもの」として選ばれ、継続的に「必要」と思われることが基本にあります。

スマートフォン以前は、新聞・テレビCM・雑誌・チラシなど情報は企業から発信されるものであり、ユーザーがどういう情報に食いつくかが仮説でしか計れませんでした。

しかしスマートフォンやネットショッピングの普及により、ユーザーの行動は多岐にわたるようになると同時に、どのような情報にどのような経路でアクションを起こしたかが定量化できるようになりました。

つまり、可視化された行動から最も自社にとって有益なユーザーを見つけ出し、理解することこそが現代のマーケティングには必要不可欠なのです!

顧客起点マーケティングの進め方

それでは顧客起点マーケティングの進め方についてご説明します。

以下の4つのステップで実行されます。

  1. 準備:対象顧客となるN1層を見つける
  2. 調査:購入のきっかけを知る
  3. 実行:調査から得た「購入のきっかけ」をもとにマーケティングアイデアを実行

ステップ1:準備

まず最初にマーケティング施策の対象となる顧客「N1顧客」を選ぶところから始まります

顧客といってもその属性はさまざまで、無作為に選んではいけません。

では、このN1顧客を選ぶにはどうすればいいのでしょうか。

ここで活用されるのが「顧客ピラミッド」と呼ばれるフレームワークです。(図1)

図1 顧客ピラミッド

自社がターゲットとする顧客は以下のいずれかになるはずです。

  • ロイヤル顧客
  • 一般顧客
  • 離反顧客
  • 認知・未購買顧客
  • 未認知顧客

ここから売り上げがどの顧客層に由来しているのかを把握することが第一です。

企業によってさまざまではありますが、ほとんどの場合、「一般顧客」がN1顧客となります。

顧客ピラミッドの作り方

この顧客ピラミッドは以下の3つの質問で構成されます。

  • そのブランドを知っているか
  • これまでに買ったことがあるか
  • どれぐらいの頻度で購入しているか

たとえばブランドAに対して顧客ピラミッドを構成すると以下のようになります。(図2)

図2 顧客ピラミッドのための質問フロー

インターネットのアンケート調査サービスなどを利用し500人〜1,000人程度することで、自社の顧客ピラミッドがどのようになっているかを把握できます。

自社の顧客ピラミッドを把握し、最も上に押し上げるべきセグメントを見つけ出すことで「N1顧客」を選び出すことができます。

ステップ2:調査

続いてターゲットとなるセグメントを上に押し上げるきっかけを知る必要があります。

つまり

・「なぜ未購入顧客から一般顧客になったのか」

・「なぜ一般顧客からロイヤル顧客になったのか」

を知ることが必要になってきます。

そしてそのきっかけはいつもユーザーに内在化されており、ユーザーもはっきりと意識できてません。

そのためにはユーザーインタビューによりカスタマージャーニーを抽出する必要があります。

カスタマージャーニー

図3 カスタマージャーニー

カスタマージャーニーはユーザーの購入経路を可視化する分析手法です。(図3)

カスタマージャーニーでは「なぜ購入したか」が重要になってきます。

購入した場所、購入した日何があったか、何に魅力を感じて購入したかをユーザーインタビューで明らかにし、購入までどのような接触があったかを聞き出します。

カスタマージャーニーは行動だけでなく、その時その時のユーザーの心理も一緒に考える必要があります。

ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューでは以下のような項目で進められます。

【ブランド意識調査】

・そのブランドを知っているか

・そのブランドを使ったことがあるか

・なぜそのブランドを選ぶのか

・そのブランドにどんなイメージを持っているか

【ユーザー購入行動調査】

・どこで購入するか

・どのようなタイミングで購入するか

・何を考えて購入するか

【ブランド接触調査】

・テレビCMを見たことがあるか

・SNSアカウントをフォローしているか

・SNSのレビューを目にしているか

・メールマガジンは購読しているか

・CMを見てどのような印象を持っているか

【ユーザー属性調査】

・年齢

・仕事

・趣味趣向

・家族構成

・友人関係

ステップ3:実行

ここでは実際に著書で書かれている西口さんの「ロクシタン」(スキンケア商品)を例に挙げます。

N1分析を繰り返す中で、顧客の初回購入が「ギフトとして購入する」ことを西口さんは発見しました。

この発見から「ギフトとして喜ばれるスキンケア商品」というコミュニケーションを実施しました。「ギフト」と名打つことで「贈り物として外れない」というポジションを確立し、あるタイミングで必ず買われる商品に転換したのです。

さらに分析を進めていくと、ギフトとして購入した時にブランド認知が広がり、使い心地を体験したというジャーニーも見えてきました。

これをヒントに、ギフトとして買ったお客様に自分でも試せるよう「サンプル品」をつけたところ、ギフトを購入した本人にも「自分が選んだスキンケア商品」として以後も購入されるようになったとのことです。

つまりこのマーケティングアイデアをまとめると以下のようになります。

商品:スキンケア商品

購入のきっかけ:ギフトとしての購入。またギフト購入時にブランド認知。

マーケティングアイデア

・「ギフト」として銘打って、ギフト商品としてさらに選ばれやすくする。

・ギフトとしての購入時に購入者が試せるよう「サンプル品」もプレゼント。

・サンプル品を試した顧客が商品の使い心地を実感し、以後も愛用。

まとめ

いかがだったでしょうか。

顧客起点マーケティングは、企業のマーケティング活動の根幹となる考え方です。

そして顧客起点マーケティングを考える上で最も重要なのが「ユーザーの行動・心理を理解し、商品をユーザーにとって必ず選ばれる存在にする」ことです!

みなさんも日頃自分が買ったものを見て「なぜこれを買ったのか?」を考えると、マーケターとしての腕に磨きがかかるはずです!

今回参考にした著書

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS) [ 西口 一希 ]
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